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新自由主義はマルクス主義者アントニオ・グラムシの文化的ヘゲモニーの概念を利用して世界の経済をケインズ主義から新自由主義に変えた。
文化的ヘゲモニーとはマルクス主義者アントニオ・グラムシによって生み出された概念。
先進資本主義国では暴力による革命ではなく、文化的ヘゲモニーの闘争に勝利することが有効だと考えた。文化的ヘゲモニーを具体的に言うと人間の頭に働きかける支配のこと。例えば大学、シンクタンク、出版社、マスメディア、宗教団体など。
これらの組織は人間を暴力的には支配しない。
しかし人間の思考を支配する。
新自由主義者は文化的ヘゲモニーの概念を使い、世界をケインズから新自由主義に変えた。
では新自由主義者はどのように文化的ヘゲモニーを支配したのか。
新自由主義者達は世界中の国の国家機関、教育機関に浸透し、世界をケインズ主義から新自由主義に変えたのだ。
具体的に言うと、新自由主義者のグループからなるMont Pèlerin Societyを中心に行われた。
Mont Pèlerin Societyのメンバー約700人以上が世界中の特に先進国の大学、シンクタンク、司法界、政治、ビジネス界、マスメディア、世界銀行、中央銀行、またIMF(国際通貨基金)などの国際組織に入り込んだ。
これにより当時支配的だったケインズ主義は新自由主義に替えられた。
このことは『Neoliberal Hegemony (RIPE Series in Global Political Economy』(編者:Dieter Plehwe, Bernhard Walpen, Gisela Neunhöffer)に詳しく書かれてある。特に
「Part I Global neoliberal projects」の
(Table 1.3 MPS members' major fields of occupations)(p34)を参照されたい。
資本主義を克服しようとするマルクス主義者から生まれた文化的ヘゲモニーの概念は見事に新自由主義者によって利用されたのだ。