それん君のマル研ノート

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マックスウェーバーは社会主義をどう見たのか

マックスウェーバーマルクス主義を高く評価したのと同時に批判をした人物である。(濱島、昭和62年)

 

このビデオではマックスウェーバーの批判的分析に焦点を置いて紹介をしたい。

 

マックスウェーバーが批判したポイントは社会主義が不可避的に官僚制に陥ってしまうという問題だ。なぜならばマックスウェーバーは「歴史は合理化の過程」だと考えたからだ。

 

「近代民主主義が大国家の民主主義であると ころでは、どこでもそれは官僚制化された民主主義となるのであります。また、そうならざるをえません。と申しますのは、それは、高貴な貴族その他の名誉官僚を有給官僚群によっておきかえるからであります。これは、どこでもそのような経過をたどります。政党の内部でさえ成り行きはこのようなものなのです。それはまぬがれえないのでありまして、この事実、すなわ ち、長年にわたる専門的訓練、不断に進展してやまぬ専門分化、およびそのように教育された専門官僚群による管理の必要という事実は、社会主義といえども考慮に入れなければならない第一の事実なのであります。 近代経済をそれ以外の方法で管理することはできません」(濱島、昭和62年、p36)

 

 

 

マックスウェーバーの主張をまとめるとこうなる。

1、社会主義社会を運営するには官僚的な組織が必要となる。

2.もし官僚的な組織がなければ、社会主義社会は運営することができない。

3、しかし社会主義では経済を国家がコントロールするので資本主義よりも政府に権力が集中してしまう。このため社会主義は資本主義より更に官僚制が支配する社会に陥ってしまう。(濱島、昭和62年、p36)

 

 

しかし、社会主義が持つこの傾向はレーニントロツキーも知っていた。

レーニントロツキーソビエトロシアがだんだんと官僚主義に支配されていくことに危機感を覚えており、このことを彼らの著作に記している。

 

しかしウェーバーと違ってトロツキーはこの傾向を社会主義社会の持つ根本的な問題として捉えなかった。(2)

ソビエトロシアの専制政治の原因をスターリン個人の問題に落とし込んだ。(3)

ここがウェーバートロツキーの主張の大きく異なる点と言えよう。

 

では官僚制に陥らなかった社会主義の一応の成功例について考えてみよう。

恐怖政治に陥らなかった成功例を挙げるなら、歴史的にパリコミューンやイスラエルキブツ、イタリアのボローニャなどの例が挙げられる。(4)もちろんこれらの三つにもさまざまな違いがあり、社会主義だと簡単に定義することはできないが、ここについては割愛する。

 

これら3つの事例では部分的にではあるが社会主義が実現された。しかし合理性に支配された現代社会においては実現が難しいというところが欠点だ。

経済的な発展や科学技術の発展、合理的な社会の運営を求めるならば、やはり官僚制が必要であるし、事実官僚主義になってしまったソ連は合理的な社会、経済的・科学的な発展を望んでいた。

ここが官僚制の一つのパラドックスなのだ。

 

 

現代社会では今再び資本主義の問題が挙げられ、マルクスが読み直されている。

資本主義からの脱却を考える際に社会主義は避けて通れない話題だ。

もちろんマックスウェーバーの分析を不当に普遍化することはできないが、社会主義が見直される今日においても読む価値はあると思う。

 

 

みなさんはウェーバーのこの主張、どう思いますか?コメントで教えてください。

 

4)井上ひさしボローニャ紀行」